グリーンランド領有発言で動揺=トランプ氏対応に苦慮―デンマーク
【ロンドン時事】トランプ次期米大統領が最近、デンマーク領グリーンランドの領有への意欲を重ねて示していることで、デンマーク国内に動揺が広がっている。政府は「言葉の戦争をエスカレートさせるつもりはない」(ラスムセン外相)という立場で穏便に対応する方針だが、トランプ氏への対応に苦慮しているのが実情だ。
トランプ氏は、ロシアや中国の脅威に対する安全保障上の理由からグリーンランドの領有が必要だと主張。軍事的圧力をかける可能性を排除しない一方、デンマークが反対する場合、関税引き上げ措置を取る考えを示唆した。
英BBC放送によると、デンマークのフレデリクセン首相は地元テレビで「米国がグリーンランドを(武力を通じて)獲得する事態は想像を超えている」と述べ、要求を一蹴。デンマーク産業連盟のソーレンセン会長も「貿易戦争をしたい人はいない。落ち着くことが最善」と述べ、経済面での影響が出ることへの不安払拭に努めた。
フレデリクセン氏は9日、与野党党首らを集めた特別会合を開いて対応を協議。会合後、トランプ氏に会談を申し入れたと明らかにし、20日の米大統領就任後に実現させたい意向を表明した。米ニュースサイト「アクシオス」は11日、デンマーク政府が、グリーンランドの安全保障強化や駐留米軍増強について話し合う用意があるとするメッセージをトランプ氏側に非公式に伝えたと報じた。
グリーンランドを巡っては、トランプ氏が第1次政権下の2019年に買収を主張した際、フレデリクセン氏が「ばかげている」と拒絶。これに立腹したトランプ氏がデンマーク訪問を取りやめた経緯がある。
[時事通信社]
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