ガザ戦闘初期に民間人犠牲容認=イスラエル軍、交戦規定変更―米紙報道
【カイロ時事】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は26日、昨年10月に始まったパレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスとの戦闘の初期にイスラエル軍が交戦規定を変更し、民間人の犠牲を容認していたと報じた。最大20人の民間人が巻き添えになる恐れがある空爆などを許容していたという。
イスラエル軍兵士や当局者100人以上の証言を基に伝えた。ガザではこれまでにハマス戦闘員を含む4万5000人以上が死亡。このうち約1万5000人は戦闘開始後約2カ月間で命を落としており、犠牲拡大の一因になったとみられる。
ハマスの奇襲から数日後、イスラエル軍は攻撃で危険にさらされる民間人の1日当たりの人数制限も撤廃。100人以上が巻き込まれる可能性を認識していながら、ハマス幹部への攻撃を承認したケースもあり、同紙は1人の幹部殺害で少なくとも125人が死亡したとされる事例を伝えた。
攻撃対象もハマス幹部だけでなく、下級戦闘員まで拡大。イスラエル軍将校らは軍内部に「敵を容赦なく攻撃する」雰囲気があったと振り返った。標的の選定がずさんになり、軍内部や米軍から懸念が出ていた。攻撃後の民間人犠牲者の調査も徹底されなかったという。
国際社会の批判を受け、イスラエル軍は昨年11月以降に交戦規定を厳しくしたが、同紙は戦闘開始前よりも制限は緩いと指摘。軍は同紙に対し、「軍は一貫して法律を順守した手段を採用してきた」と回答した。
[時事通信社]
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