ガーナの違法金採掘 取り締まりでなく支援を
【オシノ(ガーナ)AFP=時事】ガーナの首都アクラ近郊で、白いタンクトップを着て頭にスカーフを巻いたフランクさん(仮名)は泥水がたまった穴の近くにしゃがみこんだ。泥に手を突っ込み、金を探すためだ。≪写真はガーナ・キビで違法に金を探す人≫
匿名でAFPの取材に応じたフランクさんは、地元で「ガラムジー」と呼ばれる金の違法採掘を「生活するために16年間やってきた」と語った。
世界6位の金輸出国、世界2位のカカオ生産国であるガーナでは、ガラムジーによって農地が侵食され、湖は汚れ、森が失われ、主要な輸出収入源であるカカオの栽培にも損害が出ている。
フランクさんは「われわれの行為が大地を侵食し、川を汚しているのは分かっているが、他にどうすればいい? 仕事はない」と話した。
高い失業率と貧困を背景に、労働者たちは生きていくために命を危険にさらして金を採掘する。週の稼ぎは約180ドル(約2万8000円)に上り、これは教師の月収に匹敵する。
かつて好況だったウエスタン州やアシャンティ州のカカオ農園は大幅に縮小。1万9000ヘクタール以上が金の採掘場に取って代わられた。
水道水源の鉱毒汚染も懸念されている。
ナナ・アクフォアド大統領と与党・新愛国党(NPP)は2017年、ガラムジーの根絶を約束。だが、金価格の高騰と若者の失業率の高さがガラムジーの拡大に拍車をかけた。
土地・天然資源省によると、ガーナの金の生産量の4割が違法採掘によるものであり、100万人以上がガラムジーを仕事にしている。その多くがフランクさんのような若者だ。
国民の圧力を受けたアクフォアド大統領は最近、湖や川などの近くで採掘が行われるのを防ぐため、海軍の船を投入した。
だがフランクさんは、「武力行使は問題解決にならない」と話し、節度ある採掘への移行が鍵だと指摘した。
「われわれが節度を持って採掘するように、政府が支援するべきだ」
「兵士を送り込んで(採掘)道具を破壊するのではなく、合法な仕事を創出するべきだ。われわれも生きるために罪を犯すのは嫌なんだ」【翻訳編集AFPBBNews】
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