伝えたい「挑戦の大切さ」=パラ射撃の水田が母校訪問
同じ苦労を知る先輩の言葉は、よく響く。今年のパリ・パラリンピックで銅メダルを獲得した射撃女子の水田光夏(白寿生科学研究所)が、特別支援学校などで精力的に競技普及活動を行っている。20日には東京都町田市にある母校、町田の丘学園を訪問。ビームライフルを実演して後輩たちを沸かせた。「興味のあることに少しずつチャレンジしてほしい」。水田には伝えたい思いがある。
中学2年で難病「シャルコー・マリー・トゥース病」を発症し、肢体が不自由になった。大好きなダンスができなくなって「何か新しいことを始めなければと思った」。17歳の頃に出合った射撃が人生を変えた。
選んだ種目はエアライフル。引き金を引く指先の感覚がない中、10メートル先にある的の中心部分を狙う。厳しい反復練習で正確な動作を体に染み込ませ、2度目のパラ出場となったパリ大会の混合種目でメダルを勝ち取った。トレードマークの鮮やかな髪の色などから、「ピンク・ミカ」の愛称で海外からも注目された。
課題を克服する達成感だけではなく、「健常者と障害者が同じようなルールで楽しめる」ことも射撃の魅力という。近年は、ライフル射撃の全日本選手権で両者が共に競う種目も取り入れられるようになった。
水田自身は次なる目標を見つけたところだ。これまでのエアライフルに加え、火薬銃を使用する50メートルライフルにも取り組もうとしている。距離が大幅に伸びるばかりか、風のある屋外で行う難易度の高い種目。「的に当たるかどうかも分からないが、大きな新しいチャレンジ。楽しみです」と目を輝かせた。
[時事通信社]
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