トランプ氏復権、身構える米メディア=「報復」備え関係修復の動きも
【ワシントン時事】トランプ次期米大統領の就任を来年1月20日に控え、トランプ氏を批判してきたリベラル系の米主要メディアが岐路に立たされている。トランプ氏は自身に不都合な報道を「フェイクニュース」と呼び「報復」する考えで、メディアからは関係修復を模索する動きも出始めた。
◇訴訟で威嚇
「コストはかかるが、報道を正さなければならない」。トランプ氏は今月16日の記者会見で、大統領選に勝った後もメディアへの復讐(ふくしゅう)を忘れないとメッセージを送った。
同氏はこの日、中西部アイオワ州の地元紙デモイン・レジスターを提訴。大統領選の投開票日直前、トランプ氏の劣勢を伝える世論調査結果を報じたことが、世論誘導を狙った「選挙介入」に当たると主張した。
トランプ氏はこれまでも大手メディアや著名ジャーナリストを相手取り、数々の訴訟を起こしてきた。ほとんどは敗訴したが、巨額の裁判費用を負担させ「相手を惨めにさせること」が目的だと語っている。
◇苦肉の接近
一方、米ABCテレビは13日、トランプ氏が同局司会者の発言に対し起こした名誉毀損(きそん)訴訟で、1500万ドル(約23億円)を支払うことで同氏と和解した。米紙によると、ABCを所有する娯楽大手ウォルト・ディズニーは「右傾化」を指摘される連邦最高裁に訴訟がもつれ込めば、公人によるメディアへの名誉毀損訴訟を難しくした判例が覆されかねないと懸念したという。
また、トランプ氏を「ファシスト」などと糾弾してきたMSNBCテレビの司会者2人は11月15日、南部フロリダ州の私邸に同氏を訪ね、「コミュニケーションを再開する」ことを確認した。あからさまな手のひら返しに、同業者からは「報復におびえた」(CNNテレビ)と非難の声が飛んだ。
◇既存メディアの信頼低下
ピュー・リサーチ・センターの9月調査では、全国紙や全国ネットの放送局を「大いに」または「ある程度」信頼するとの回答が2016年調査の76%から59%に落ち込んだ一方、SNS情報への信頼は34%から37%に増加。既存メディアを敵視するトランプ氏は、大統領選でSNSやポッドキャストなどの新興メディアを積極的に活用した。
リベラル系のCNNは「トランプ氏におもねるため、メディアは自己規制を始めるのか」と警鐘を鳴らす。それでも求心力の衰えに直面し、トランプ氏との「雪解け」を模索する主要紙や放送局の動きは続きそうだ。
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