率直発言で注目=徴兵、学生運動も経験―渡辺恒雄さん死去
渡辺恒雄さんは読売新聞を一時、発行部数1000万を超える巨大新聞社に成長させた。一方で、率直な発言で世間の注目を集めることもあった。
著書などによると、渡辺さんは1926年5月、現在の東京都杉並区に生まれた。少年期に父親と姉を亡くしている。旧制開成中学、旧制東京高校へと進学。哲学の世界にのめり込み、45年4月、東京帝国大学文学部哲学科に入学した。
同年、徴兵で陸軍の砲兵連隊に入隊し、終戦までの約1カ月を軍隊で過ごした。戦後間もなく復学したが、軍隊への反発などから学生運動に身を投じ、一時日本共産党に入党。党の学生組織の中心メンバーとして活動したという。
読売新聞社に入社したのは、党除名後の50年11月。武装闘争路線を走る共産党の工作隊への潜入記がデスクの目に留まり、52年7月、本社の政治部に配属となった。
政治部記者時代に自民党の故大野伴睦元副総裁、故中曽根康弘元首相らとじっこんの仲に。日米新安保条約を締結した岸信介内閣では、反対闘争に参加していた学生樺美智子さん=当時(22)=の死亡を巡り、「政府声明を執筆した」こともあったという。
プロ野球界の「ドン」としても知られ、巨人のオーナー時代には、旧ライブドアの近鉄買収騒動や、持論だったプロ野球1リーグ制導入を巡る発言が議論を呼んだ。
球団会長だった2011年、当時の球団代表、清武英利氏が突然の記者会見で「鶴の一声で確定人事を覆す渡辺会長を許せない」として、チームの内部問題を告発。名誉を傷つけられたとして、読売新聞グループ本社と巨人による損害賠償訴訟に発展するなどした。
著書で渡辺さんは「自分の葬儀で流す『渡辺恒雄音楽葬』のテープを用意している」とした上で、「メッセージと曲の簡潔な解説を加える予定だ」とつづっていた。
[時事通信社]
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