揺らぐ銀行の信用=「ビジネスの根幹」で不正―三菱UFJ銀
三菱UFJ銀行で再び不正が発覚した。今回は顧客の資産を預かる「銀行ビジネスの根幹」(半沢淳一頭取)で発生。管理責任者の行員が金品を盗み出しており、信用という事業の大前提が揺らぐ深刻な事態だ。同行は顧客企業の内部情報をグループ内で無断共有した問題で金融庁から6月に業務改善命令を受けたばかり。相次ぐ不正に信頼回復への道は険しさを増している。
半沢氏は16日の記者会見で、「貸金庫でこれまで(同様の)不祥事がなく、リスク認識が低かった」と管理体制の甘さを認めた。単独犯とみられることや、銀行側が貸金庫の中身を把握できないことを考慮しても、4年半にもわたり犯行を見抜けなかった組織の責任は重い。
不正の公表後、会見による詳細な説明をしないまま3週間余りを費やし、インターネット上では隠蔽(いんぺい)などの疑念や批判も招いた。同行は、補償対応や再発防止策策定など「顧客の安心」を優先したと釈明する。ただ、他の大手金融機関でもインサイダー取引などの不正が相次いでおり、金融業界全体への不信感を増幅した面は否めない。
半沢氏は、内部管理体制について「不断の見直しが必要だ」と指摘。自身の処分に関しては「真因を明確にする中で検討する」などと述べるにとどめた。同行は金利復活に伴う利ざやの改善で、過去最高水準の好業績を実現しているが、その裏で不正が続発する企業体質には厳しい目が向けられる。順当なら今月ともみられていたグループのトップ人事の決定時期など経営への影響は不可避な情勢だ。
[時事通信社]
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