2024-12-16 20:11社会

猪苗代湖ボート死傷事故、逆転無罪=被告の過失「認められない」―仙台高裁

仙台高裁=仙台市青葉区

 福島県会津若松市の猪苗代湖で2020年、遊泳中の家族に操縦していたプレジャーボートを接触させ、親子ら3人を死傷させたとして業務上過失致死傷罪に問われた元会社役員佐藤剛被告(47)の控訴審判決が16日、仙台高裁であった。渡辺英敬裁判長は「被告に過失を認めることはできない」として、禁錮2年とした一審福島地裁判決を破棄し、無罪を言い渡した。
 渡辺裁判長は、ボートが桟橋から出発し、湖内で停泊状態となるまで、ボートと遊泳中の親子らの間には距離があり、被告は親子らを確実に発見できたと認めることはできないと指摘。被告が再びボートを動かしてから事故に至るまでの間も、ボートからは親子らの姿は死角に入っていた可能性が否定できず、安全を確認しながら航行したとしても、事故が回避できなかった可能性があると結論付けた。
 判決後、佐藤被告は弁護士を通じ、「私は当時、十分な針路の安全確認を行っていた。判決はその点を確かな証拠に基づいて認めてくれた」とするコメントを出した。
 事故は20年9月6日午前に発生。佐藤被告は安全確認を怠ったまま猪苗代湖でボートを時速15~20キロで操縦して遊泳中だった家族らを巻き込み、千葉県野田市の豊田瑛大君=当時(8)=を死亡させ、母親に両脚切断、友人の男児に重傷を負わせたとして起訴された。
 福島地裁は23年3月、現場周辺の状況などから「被告は湖面に浮かぶ人がいる可能性を具体的に予見できた」と認定。安全を確認して航行していれば衝突を回避できたとして実刑判決とし、被告側が控訴していた。
 豊田君の遺族は「判決は到底納得できるものではありません。上告審での審理を強く求めます」とするコメントを出した。
 仙台高検の吉川崇次席検事の話 判決の内容を検討の上、適切に対応したい。 
[時事通信社]

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