半沢頭取「心よりおわび」=さらに数十人が被害の可能性―三菱UFJ銀の貸金庫窃盗
三菱UFJ銀行は16日、元行員が貸金庫に預けられていた顧客資産十数億円相当を盗んだ件で、先月22日の問題公表後初めて記者会見を開いた。半沢淳一頭取は「信頼、信用という銀行ビジネスの根幹を揺るがすもの」と強調し、「お客さまや関係者の皆さまに心よりおわびする」と謝罪した。同行は窃盗が発生した東京都内の2支店で、さらに数十人の顧客に被害があった可能性があると明らかにした。
金融庁は16日、同行に対し銀行法に基づく報告徴求命令を出した。
半沢頭取は経営責任について「真因分析をしっかり進め、再発防止策を策定し実行に移していくことが私の最大の責任」と述べるにとどめ、調査分析を進めて責任を明確化する中で自身や役員の処分を検討する方針を示した。
窃盗は都内の練馬、玉川の2支店で発生した。2020年4月から24年10月にかけて貸金庫業務の管理責任を担っていた元行員の40代女性が、支店で保管されている予備の鍵を不正に使用。貸金庫を開けて顧客約60人の資産を盗み出していた。半沢頭取は、元行員が窃盗で得た資金について「投資などに流用しているという供述を得ている」と明らかにした。元行員は既に懲戒解雇されている。
三菱UFJ銀は窃盗発覚後、2支店で貸金庫を契約している顧客に対し、来店して貸金庫の内容物を確認するよう要請。その中で新たに数十人の顧客が被害に遭った恐れがあると訴えた。また、貸金庫を設置するすべての支店で点検を行ったが、同様の問題は確認されなかったとしている。
同行は会見で、予備の鍵を来年1月中に本部に集約して管理する対策を表明。既に被害を受けたことが判明している顧客については、約20件について計約3億円の補償を行うなど順次対応していると発表した。
[時事通信社]
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