暫定政府と関係構築模索=国際社会、動向見定め―シリア
【イスタンブール時事】シリアでアサド政権が崩壊し、旧反体制派が樹立した暫定政府との関係構築を模索する動きが各国で出始めている。国際社会との関係改善は新生シリアの行く末を左右するが、旧反体制派をテロ組織と見なす国もある。各国は関与の度合いを判断するため、新政府の動きを慎重に見定めるとみられる。
シリアで政権移行手続きを主導する旧反体制派主力の「シャーム解放機構」(HTS)について、米NBCテレビは米政府が「外国テロ組織」の指定解除を検討していると報じた。米国はHTS前身の「ヌスラ戦線」を2012年にテロ組織に指定したが、元米政府当局者は「世界が新しい政府と関われる道筋をつくるためだ」と説明した。
ただ、カービー米大統領補佐官(広報担当)は米メディアに「良い統治を行おうとしているか見極める必要がある」と言明。英BBC放送によると、スターマー英首相も「歴史の中で転換点と思っても、必ずしも望むような良い未来にならなかったこともある」と指摘し、指定解除は「時期尚早」と語った。
国際テロ組織アルカイダの流れをくむHTSだが、既にアルカイダとは決別を宣言。イスラム過激主義から穏健路線への転換を訴え、統治能力をアピールしている。
暫定政府は「シリア国民は尊厳ある暮らしの権利がある」として、圧政を敷いたアサド独裁政権との違いを強調。HTS指導者ジャウラニ氏も英スカイニューズに対し「イラン民兵と(レバノンのイスラム教シーア派組織)ヒズボラ、政権が恐怖の源で、これらを除去することが解決策だ」と述べ、国際社会に根強い不安の払拭に腐心している。
アサド前政権を支えたイランの影響力が陰る中、シリア近隣国も動きだしている。前政権は内戦への対応で中東各国と関係が冷え込み、追放されたアラブ連盟に昨年復帰したばかりだった。前政権に冷淡だったカタールは11日、在シリア大使館の早期再開を発表。トルコも追随する方針だ。
シリア国営メディアによれば、近年は前政権と関係強化を図ったアラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、エジプトなどもシリアで外交団の活動を再開。旧反体制派は12日、「シリアの主権や領土統一を尊重する全ての国と健全な関係構築を望んでいる」と呼び掛けた。
[時事通信社]
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