2024-12-10 15:16国際

核軍縮へ「舞台裏の貢献」=日本被団協のノーベル平和賞―中満国連次長

 【ニューヨーク時事】「核兵器を減らす国際的取り組みの舞台裏には、必ず日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の活動があった」。国連で軍縮部門トップを務める中満泉軍縮担当上級代表(事務次長)は、日本被団協の貢献をこう強調する。
 世界各国の外交官が集まる国連。そこで核軍縮関連の国際会議があれば、日本被団協はメンバーを派遣し被爆者の声を届けてきた。「国連軍縮部とはもう長い付き合いになる」と中満氏。地道な活動は2017年7月、核兵器を全面的に禁じる初の核兵器禁止条約の採択という成果を生んだ。
 中満氏は「核禁条約を作った国を突き動かした」のが日本被団協の存在だったと振り返る。軍縮分野を専門とする外交官は「必ずどこかで被爆者の話をじっくり聞いている」。そして心を動かされ、核廃絶こそ「一生をかけて追求する課題だと考えるようになった」と語る人が多いという。
 世界では核大国のロシアがウクライナ侵攻を続け、中東でも戦火が絶えない。その中でのノーベル平和賞選出について中満氏は、日本被団協が築き上げてきた「(核兵器を使ってはならないという)『核のタブー』を何としても守らなければならないとの危機感があった」と分析する。
 厳しい国際情勢を背景に、核軍縮は後退を余儀なくされている。それでも中満氏は、1960年代に米ソが核戦争寸前まで対立した直後、部分的核実験禁止条約を結ぶに至った例を挙げ「危機感の共有が核軍縮を進めることがある」と指摘。「決して諦めてはならない」と力を込めた。
 また日本政府に対し、核禁条約締約国会議へのオブザーバー参加を提案。被害者支援や環境修復の在り方を巡る議論に「唯一の戦争被爆国である日本は貢献できる」と訴えた。 
[時事通信社]

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