実質GDP、年1.2%増に上振れ=回復維持も、物価高が足かせ―7~9月期
内閣府が9日発表した2024年7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.3%増、この成長ペースが1年続いた場合の年率換算で1.2%増となった。11月発表の速報値(前期比0.2%増、年率0.9%増)と比べ、自動車や電子部品の輸出が上振れしたことなどから上方修正した。
2四半期連続のプラス成長を維持し、日本経済の緩やかな回復が続いていることを示した。ただ、先行きに関しては、物価高が引き続き消費マインド改善の重しになるとの指摘も出ている。
内需では、最新の法人企業統計を反映した結果、企業の設備投資が前期比0.1%減(速報値は0.2%減)に上方修正された。また、住宅投資はリフォームの増加などで0.4%増(同0.1%減)となった。
一方、内需の柱である個人消費は、0.7%増(同0.9%増)に下方修正。自動車の国内販売に関する最新の数値を踏まえたほか、速報段階で個人消費に算入していた訪日客需要の一部を、改定値では輸出に計上した影響があった。
GDPにプラスに働く輸出は、訪日客需要の計上に加えて、自動車や電子部品、非鉄金属などが増えた結果、1.1%増(同0.4%増)に上方修正。輸入は1.8%増(同2.1%増)となった。また、民間在庫の寄与度が、原油・天然ガスの備蓄増加で、0.2%(同0.1%)に上昇したことも全体を押し上げた。
第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストは、実質GDPの上方修正について、季節調整値の計算モデルを一部変更したことによる「テクニカルな修正の面が大きい」と指摘。先行きについては、実質賃金の下げ止まりといった好材料がある一方、物価の高止まりは続いているため、「景気は緩やかに回復するが、加速感が出るには至らない」との見方を示した。
[時事通信社]
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