迫られた「限界」=堀米、冷静に戦略変更―スケートボード
パリ五輪のスケートボード男子ストリート決勝。堀米雄斗(25)=三井住友DSアセットマネジメント=はあえて無音の状態でイヤホンを着け、集中力を最大限に高めていた。体はぼろぼろ。初代王者は、かつてないほど追い込まれていた。
一発技のベストトリック1回目で100点中94点台をマーク。ただ、自分以外に5人も90点台を出してきたのは想定外だった。異次元のトリック(技)の応酬となる展開で連覇を遂げるには「限界の技」を出さなければ勝てない―。堀米は技の選択を迫られていた。
「ギリギリまで違う技(の構成)で、という話をしていた。ただ周りの状況を見て、違うなと」。6月の最終予選でパリ行きを引き寄せた「ノーリー・バックサイド270テールブラントスライド」を2回目から組み込むことを決意。堀米しかできないとされる最高難度の技で、当初はこれを出さなくても勝てるとみていた。
「限界」への挑戦は堀米の体力を奪っていった。体とデッキを270度回す際、幅約10センチのレールとの接触部分は視界に入らない。「感覚でやっている」と言うだけに、ぶっつけで挑むにはリスクが高く、合間の練習でも一度も決まらなかった。転倒を繰り返すうちに右腰付近が真っ赤になっていた。
7位で迎えた最終5回目。「1%の可能性」を信じて再び挑んだ。鮮やかに回り、細いレールを今度こそ完璧に捉え、ぴたりと着地。まだ3人が試技を残していたが、この瞬間に誰もが堀米の勝利を確信した。実に0.1点差での金メダル。後に「なぜ乗れたのかいまだに分からない」。窮地で見せた精神力に加え、瞬時に戦略を変える冷静な判断あってこその連覇だった。 (時事)
[時事通信社]
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