政府、朝鮮半島緊迫を警戒=韓国混迷、ロ朝条約が発効
日本政府は、朝鮮半島情勢が緊迫化するのではないかと警戒を強めている。韓国の尹錫悦大統領の「非常戒厳」宣言で韓国政局が混迷を深める中、北朝鮮とロシアの事実上の軍事同盟とされる「包括的戦略パートナーシップ条約」も発効した。不測の事態に備え、警戒監視に万全を期す方針だ。
石破茂首相は5日の衆院予算委員会で、北東アジア情勢について「安全保障の状況が根底から変わるかもしれないという危惧の念を抱いている」と危機感を表明。「今までの前提が変わるかもしれない」と厳しい表情で語った。
ロシアによるウクライナ侵攻では、北朝鮮がロシアに兵士を派遣、戦闘に参加している。条約発効でロ朝の軍事協力はさらに進展しそうだ。ロシアの後ろ盾を得た北朝鮮は、核・ミサイル開発を推し進める可能性が高い。外務省関係者は「シリアスに危機感を持って見ている」と話す。
韓国では尹氏に対する弾劾訴追案が提出されるなど政治情勢は一層不安定となっている。日本政府は朝鮮半島で「力の空白」を生じさせないため、日韓の防衛協力を維持・強化したい考えだが、韓国の金龍顕国防相が非常戒厳の責任を取って辞任。年内の訪韓を予定していた中谷元防衛相は、断念せざるを得ない状況となった。
日米韓3カ国の連携も先行きが不透明となっている。米韓両政府は今週予定していた、核抑止に関する情報共有強化に向けた「核協議グループ(NCG)」の会合と机上演習を延期した。来年1月に米大統領に就任するトランプ氏は、多国間協力に消極的で「日米韓協力が継続するかは見通せない」(日本政府関係者)との見方が広がる。
韓国情勢を巡り、首相は4日夜に岩屋毅外相、中谷氏らと首相官邸で対応を協議した。首相は5日の予算委で、朝鮮半島有事などに触れ「能力、法制面、オペレーションを考え、安保体制を本当にきちんとしたものにしたい」と強調した。
[時事通信社]
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