2024-12-05 17:45国際

韓国情勢、中国は様子見=政治宣伝に利用も

 【北京時事】韓国の尹錫悦大統領が「非常戒厳」を宣言したことを巡り、中国は様子見の姿勢を続けている。対韓関係の安定化を目指す習近平政権にとって、政治的混乱の長期化は好ましくない。一方で習政権は、日米との連携を深める韓国にいら立ちを強めてきた経緯もあり、今回の事件を尹政権の「機能不全」を示すプロパガンダとして利用している。
 中国外務省の林剣副報道局長は4日夜に発表した談話で「韓国の内政問題には論評しない」と述べるにとどめ、詳細なコメントを避けた。
 中国は最近、冷え込んでいた韓国との関係修復を進めており、習国家主席と尹大統領は先月、南米での国際会議に合わせて2年ぶりに会談。韓国を含む全ての国からの輸入品に追加関税を課すと主張するトランプ次期米大統領の就任を前に、「自由貿易」の維持で足並みをそろえた。
 習政権は表向き、態度表明を避けているが、官製メディアは韓国情勢を詳細に報道。尹氏の支持喪失や早期退陣の観測を大きく伝えている。著名論客の胡錫進氏はSNSで「(尹氏は)対米従属を進めて米国を喜ばせた一方、国内では分裂を招いた」などと批判した。
 北京の外交筋は「中国としては、韓国で対中親和的な政権が早期に誕生する展開が望ましい」と指摘。韓国の混乱を、自らの体制の優位性を示す機会と見なしているとの見立ても示した。 
[時事通信社]

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