仏内閣、不信任の危機=極右が予算案で「最後通告」
【パリ時事】フランスのバルニエ内閣が9月の発足から2カ月余りで存続の危機にひんしている。野党は2025年予算案への反対を理由に、下院に不信任案を提出する方針。採決のカギを握る極右・国民連合(RN)は28日、総辞職を回避したければ12月2日までに予算案修正の要求をのむよう、バルニエ首相に「最後通告」(公共放送)を突き付けた。
ドイツではショルツ連立政権が今月崩壊し、来年2月に総選挙が行われる。フランスも内閣が総辞職に追い込まれれば、欧州連合(EU)をけん引する両国で同時期に政治が不安定化する異例の事態を迎えることとなる。
予算案が否決された場合、つなぎ予算でしのぐ道が残されており、政府閉鎖のリスクは低い。ただ、市場では懸念が広がり、主要銀行の株価などが下落する「フランス売り」の動きが出ている。
少数連立与党のバルニエ内閣は10月、EU基準を大幅に超過した財政赤字を削減しようと、緊縮型の予算案を議会に提出した。ばらまきを主張する左派4党連合と増税阻止のRNがこれに猛反発。両陣営の議席を合わせると下院の過半数を優に占めるため、「倒閣は時間の問題」(仏テレビ)という見方もある。
バルニエ氏は28日、予算案に盛り込んだ電気税増税の撤回を表明し、譲歩の姿勢をアピールした。一方、RNは「政府にはまだ時間がある」と、他の要求にも応じるよう圧力を強めた。駆け引きは予算案の採決直前まで続くとみられる。
6~7月の仏総選挙ではマクロン大統領を支える中道連合が敗北し、バルニエ氏の中道右派・共和党と連立を組んだ。憲法の規定で選挙後1年間は下院を解散できず、仮に内閣が不信任で総辞職しても混乱は当面収束しない恐れがある。
[時事通信社]
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