壁乗り越えた競技人生=大堀、惜しまれつつ引退へ―バドミントン女子
パリ五輪のバドミントン女子シングルスで8強入りした大堀彩(28)=トナミ運輸=が、惜しまれながらもコートを去る。「22年間の競技人生はとても幸せな時間だった」。自身のSNSで今年限りでの引退を表明し、今月の熊本マスターズ・ジャパンが国内最後の試合に。準々決勝まで進み、山口茜(再春館製薬所)とフルゲームの好勝負を演じて惜しくも敗れた。
来年から日本代表ヘッドコーチを務める均さんを父に持つ。福島・富岡一中時代に東日本大震災で被災。先輩を卒業式で送り出し、部活の最初にストレッチをしていた最中だった。その記憶は深く心に刻まれている。
大阪などで避難生活を送った。最初の数週間は、練習を終えて部屋に戻ると涙があふれた。ただ、「あれ以上の怖いものはないと思えば、何事も強気でいける」。心は強くなった。
成績が伴わずに「頑張っても報われないんじゃないか」と引退を考えたことは何度もあった。それでも続けられたのは仲間の存在も大きい。同学年の五十嵐(旧姓東野)有紗とは中高を共にし、震災の後は二人で泣き合った。社会人で進路が分かれても連絡を取り合い、「苦しいことも、うれしいことも分かち合って一緒に成長してきた」。その友と一緒に立てたパリ五輪の舞台は格別だった。
「本当に過酷だった」という五輪代表選考レース。奥原希望(太陽ホールディングス)らとの代表争いを通じ、精神的にも一回り成長した。パリでは初戦から緊張せずに実力を発揮。「新しい自分を見つけられた」と実感を込める。
歩んできたバドミントン人生は「決して順風満帆だったとは言えない」。だが数々の壁を破ってきたからこそ充実感も伴う。次のステージでも、挑んでいく姿勢はこれまでと変わらないだろう。
[時事通信社]
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