パリ協定、目標達成へ結束=ガザ停戦支持で一致―ロシア非難避ける・G20首脳宣言
【リオデジャネイロ時事】ブラジル・リオデジャネイロで開催中の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は18日(日本時間19日)、首脳宣言を発表した。気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」について「長期目標達成に向けた努力で結束を続ける決意」を改めて表明。イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザなど中東の人道状況に懸念を示し、停戦の取り組みを「支持することで一致した」と表明した。
パリ協定に関しては、再離脱を表明するトランプ次期米大統領を念頭に、取り組みを継続する姿勢を強調した。
焦点となっていたウクライナ情勢では、インドが議長国だった昨年の首脳宣言の表現をほぼ踏襲。人的被害や食料・エネルギー安全保障への悪影響に懸念を示した。ただ、ロシアによる侵攻も含めて戦争や紛争に対する「各国の立場」を再確認した上で、「全ての国は領土取得を追求するための武力行使は慎まなければならない」として、ロシアに対する強い非難には踏み込まなかった。
米国は、対ロシアで厳しい姿勢を打ち出し、ウクライナ支援に後ろ向きなトランプ氏へのけん制を狙ったが、従来宣言の確認にとどまった。
首脳宣言は、世界経済が、成長維持とインフレ抑制を両立する「ソフトランディング(軟着陸)」への良い見通しがあるとの認識を表明。一方で下振れリスク増大への警戒を呼び掛け、財政健全化や物価安定に取り組むよう各国に要請した。為替相場については「過度な変動が経済・金融の安定に悪影響を与え得る」との認識を再確認した。
トランプ氏の返り咲きで保護主義的な動きが強まると懸念されているが、「世界貿易機関(WTO)を中核としたルールに基づく、公正で開かれた多角的貿易システムの重要性」を強調したものの、保護主義との対決は明記しなかった。
18日は初日の討議を行い、議長国ブラジルが重視する貧困問題などで意見交換。ブラジルのルラ大統領は「飢餓や貧困は自然現象の結果ではない。人類の大部分の排除を続ける政治的決定の産物だ」と強調した。サミットは19日閉幕するが、アルゼンチンが首脳宣言の一部について承諾していないという。
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