自由貿易の重要性を確認=首脳宣言、保護主義けん制―APEC閉幕
【リマ時事】日本や米国、中国など21カ国・地域が参加し、ペルーの首都リマで開かれていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議は16日(日本時間17日)、首脳宣言を採択し閉幕した。首脳宣言は「自由で開かれた公正な貿易・投資環境の実現に向けた協力が重要だ」と指摘。保護主義拡大への懸念が強まる中、自由貿易体制の維持・強化の重要性を確認した。
首脳宣言はまた「ルールに基づく多角的貿易体制への支持を再確認する」と表明。これに先立ち、採択が遅れていた閣僚共同声明も発表し、「公正な競争を促進するため、開かれた市場を維持する」として保護主義をけん制する姿勢を示した。
米国のトランプ次期大統領が関税引き上げを主張するなど自国優先主義が世界的に強まる中、2日間にわたり開かれた今回の会議では、自由貿易体制の推進や保護主義に対抗する姿勢をどのように示すかが最大の焦点となっていた。
APECを包含するアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想に関する声明も公表した。自由貿易協定で先進的な規定を調査・分析する「新たな作業」を実施。構想実現へ具体的な進展を図るため、年次報告を求めるとともに2030年に包括的な評価を行う方針を示した。
議長国ペルーのボルアルテ大統領は閉幕後の記者会見で、「世界にさまざまな声と対立がある中、一つの心にまとまった」と強調。FTAAPに関する声明について「経済、貿易、投資の統合を推進する指針として機能する」と述べ、巨大な経済圏の構築に期待を示した。
参加国間の意見が分かれるウクライナや中東情勢に関しては別途、議長声明を発表。「世界経済への影響を考慮する国があった一方、APECはこうした問題を議論する場ではないとの見解も示された」と両論併記した。石破茂首相はウクライナ情勢に関し、会議で「北朝鮮とロシアの軍事協力の一層の進展を深刻に懸念する」と述べた。
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