池田の暫定処分、日本初のケース=世界陸上選考会出場は不透明
陸上男子20キロ競歩で東京五輪銀メダルの池田向希(旭化成)が、ドーピング違反の疑いで暫定的な資格停止処分を受けた。血液などのデータを蓄積して変化を調べる「生体パスポート」で異常が確認され、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)によると日本選手では初のケースとなった。
旭化成によると、陸上界の不正を監視する「インテグリティー・ユニット(AIU)」から、昨年6~8月の検査で池田に血液ドーピングの疑いがあるとの通知を今年6月下旬に受けた。パリ五輪直前に弁明書を提出したが、AIUが11月1日に暫定処分を発表した。禁止物質は検出されておらず、池田は潔白を訴えている。
生体パスポートでは、各選手が検査を繰り返すことで血中のヘモグロビンなどの正常値の範囲が自動的に定められ、そこから外れると1人の専門家が審査。さらに2人の専門家を加えた2段階の審査の過程で選手側に弁明を求め、それでも違反の可能性が高ければ暫定処分が科される。JADAの浅川伸専務理事は一般論として「合理的な説明がつくかどうかを見るプロセス」と解説する。
その後は聴聞会が開かれ、違反の有無を判断。スポーツ仲裁裁判所(CAS)への不服申し立ても可能だが、浅川氏は「生体パスポートで訴追された事案は、ほぼ違反としてCASでも認定を受けている」と指摘する。
世界反ドーピング機関(WADA)は「(暫定処分の)通知から6カ月以内に結果管理を終了すべきだ」と定めているが、「努力目標であって絶対的なものではない」と浅川氏。来年2月には世界選手権(同9月、東京)の代表選考会となる日本選手権20キロ競歩が予定されている。残りの期間で池田側の潔白が証明され、出場を果たせるかは不透明だ。
[時事通信社]
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