米大統領選、世論調査は正確だった?=「接戦」予測もトランプ氏早々勝利
【ワシントン時事】11月5日投開票の米大統領選で、米国の主要な世論調査は、トランプ前大統領とハリス副大統領の支持率が拮抗(きっこう)していたことから「接戦」を予測していた。だが、ふたを開けてみると、トランプ氏が早々と選挙人の過半数(270人)を獲得して勝利。世論調査はどの程度、正確だったのだろうか。
◇焦点は激戦7州
大統領選は、全米50州と首都ワシントンに割り当てられた計538人の「大統領選挙人」の獲得数を競う仕組み。一部を除き、一票でも多く得た候補がその州の選挙人をすべて獲得する「勝者総取り」を採用している。
多くの州ではトランプ氏とハリス氏のどちらが選挙人を獲得するか、選挙前の時点で確実に予想できた。このため、勝敗の読めない激戦7州(アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィスコンシン)での支持率が注視された。
7州の選挙人は合計93人。勝利に向けてトランプ氏はここから51人、ハリス氏は44人をそれぞれ獲得する必要があった。
◇1~2ポイント差
事前の世論調査によると、トランプ氏は西部アリゾナ、南部ジョージア、南部ノースカロライナの3州でリードするケースが多く、ハリス氏は中西部のミシガン、ウィスコンシンの2州で良い数字が出ていた。ただ、政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」がまとめた各種世論調査の平均値はいずれも3ポイント以内の差で、調査によってはどちらが優勢かも入れ替わった。
このため、7州で最も多い19人の選挙人を擁する東部ペンシルベニアの結果が勝負を決するとみられた。ニューヨーク・タイムズ紙などの直前調査(期間10月29日~11月2日)では、同州での支持率は共に48%のタイスコア。それ以外の多くの調査でも両者は1~2ポイント差で争っており、内外の主要メディアは選挙戦全体を歴史的な「接戦」になると捉えた。
◇誤差の範囲内
接戦州のうちアリゾナ(選挙人11人)では9日夜(日本時間10日午前)に、ようやくトランプ氏の勝利が明確になった。仮にハリス氏がペンシルベニアを落としても、バイデン大統領が前回大統領選で奪取したミシガン(同15人)とウィスコンシン(同10人)、南部ジョージア(同16人)を死守していれば、選挙の勝敗は9日まで決していなかった。
だが、現実にはハリス氏がペンシルベニアを含む4州すべてで敗れ、6日未明(日本時間6日午後)にトランプ氏の当選が確実となった。9日時点で総投票数に占める得票差の割合は、ペンシルベニアが2.11%、ミシガンが1.37%、ウィスコンシンが0.92%などと、いずれもわずかだった。
獲得選挙人は、トランプ氏が312でハリス氏が226。数字上は大差に見えるが、注目されていた一部の激戦州では「紙一重」の勝負だった。世論調査の誤差を考慮すれば、両氏の支持率は実際の得票率と必ずしもかけ離れてはいなかった。
では、なぜ事前の支持率動向からトランプ氏の「勢い」を読めなかったのか。まず、過去の例からも主要メディアを敵視する同氏の支持者は世論調査に応じない点が指摘されている。また、若い世代などは知らない番号からの電話に出ない傾向にあるため、一般的に電話で行われる調査では、バランスの取れた多様な声を集めるのが困難だったようだ。
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