尹政権、相次ぐ疑惑で求心力低下=支持率10%台で任期後半へ―韓国
【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領は10日、就任から2年半を迎え、5年の任期を折り返す。尹氏自身や夫人の金建希さんを巡る疑惑が相次ぎ、支持率は10%台に低迷。野党が攻勢を強める中、与党内の不協和音も絶えず、政権の求心力は低下している。
「私の周辺のことで国民に心配をかけた。おわび申し上げる」。尹氏は7日の記者会見で頭を下げた。謝罪したのは、尹氏夫妻が国政選挙の与党候補公認に介入したとされる疑惑が浮上して政権への逆風が強まり、現状を打破する必要があったためだ。
世論調査機関「韓国ギャラップ」によれば、政権支持率は11月に入り初めて20%を割り、8日の発表では過去最低の17%に。不支持の理由として「金建希さんの問題」が最も多かった。
夫人を巡っては、高級バッグ授受や株価操作への関与など複数の疑惑がかねて問題視されてきた。これに加え最近、世論調査などを手掛ける「政治ブローカー」とされる人物と尹氏夫妻が関わりを持ち、2022年6月の国会議員補欠選の候補公認に干渉した疑いが波紋を広げている。
尹氏は会見で「私と妻の振る舞いに全て問題がある」と謝罪。一方、公認介入疑惑については「不適切なことをしたこともないし、隠すこともない」と否定した。
これに対し、革新系最大野党「共に民主党」の李在明代表は「『何を謝ったのかわからない』という国民の声が多かった」と批判。「(尹氏は)夫人の弁護人に近かった」(保守系紙・東亜日報)といった冷ややかな見方も出ている。
国会で多数を握る野党は、政府から独立した特別検察官に夫人の疑惑の捜査を委ねる法案の成立を目指し、政権への圧力を強める。尹氏はこれまで2回、同法案に拒否権を行使。ただ今後、与党内で造反が広がれば、拒否権を用いても国会で再可決され、成立する可能性も出てくる。
疑惑を巡っては、与党「国民の力」の韓東勲代表が、夫人の対外活動中止や大統領府の人事刷新を求めた経緯があり、与党内も一枚岩ではない。尹氏にとって、任期後半はいばらの道となりそうだ。
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