「覚醒剤購入を頼まれた」=被告人質問で元妻が証言―「ドン・ファン」殺害・和歌山地裁
和歌山県田辺市で2018年5月、「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家の会社経営野崎幸助さん=当時(77)=を殺害したとして、殺人罪などに問われた元妻須藤早貴被告(28)の裁判員裁判の公判が8日、和歌山地裁(福島恵子裁判長)であり、被告人質問が行われた。
須藤被告は、同年4月に野崎さんから「覚醒剤を買ってきてくれないか」と頼まれ、「お金くれるならいいですよ」と言ったところ20万円を受け取ったとした。「放置していたら社長から『あれどうなった』と催促されて『薬物 裏掲示板』と検索した。番号が載っていたので電話した」と話した。
購入して渡した翌日に野崎さんから「使い物にならん。にせもんや。もうお前には頼まん」と言われたと述べ、自らの意思で購入したわけではないと主張した。
野崎さんと出会った経緯についても説明。初めて会った際に100万円を渡されて「結婚してください」と言われ、冗談と思い「毎月くれるならいいですよ」と応じたという。弁護側から、今後の関係をどうしようと思ったか問われ、「お金をくれる人だからラッキーと思ったし、うまく付き合っていこうと思った」と述べた。
須藤被告は捜査段階では黙秘し、今年9月の初公判で「私は殺していません」と起訴内容を否認していた。検察側は冒頭陳述で、須藤被告が覚醒剤による完全犯罪で莫大(ばくだい)な財産を得ようとして野崎さんを殺害したと主張。弁護側は、野崎さんが自分で覚醒剤を摂取したか、第三者に摂取させられた可能性があると指摘した。
[時事通信社]
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