「米国第一」再び=紛争収束着手も不透明感―トランプ氏・米大統領選
【ワシントン時事】米共和党のトランプ前大統領は、バイデン政権の国際協調路線を覆し、「米国第一」の自国優先路線へ再びかじを切る。足元では欧州と中東の紛争収束に取り組むとみられるが、具体的道筋は見えないままだ。
トランプ氏はロシアのウクライナ侵攻について、2025年1月の大統領就任前に「決着をつける」と述べ、交渉により早期に終結させる考えを示してきた。ウクライナのゼレンスキー大統領とは今年9月にニューヨークで会談。選挙に勝利すれば「迅速に解決できる」と語っていた。
イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザ情勢でも、イスラエルのネタニヤフ首相に大統領就任までの停戦を求めたと伝えられている。
シンクタンク「アメリカン・エンタープライズ政策研究所」のザック・クーパー上級研究員は、「トランプ氏は危機の長期化を望んでいない」と指摘する。ウクライナに関しては、同国支援を継続し、長距離ミサイルを使ったロシア領内への攻撃を容認しつつも、一定の期限内に停戦するようゼレンスキー氏に迫る可能性があると語る。
対中国では、トランプ氏は関税引き上げにたびたび言及してきた。だがクーパー氏は、トランプ氏がその後に中国と何らかの「ディール(取引)」を試みるのか、米中経済の「デカップリング(分断)」に踏み込むのかは不明だと解説。台湾に関しては、トランプ氏は「戦略的に重要だと見なしていない」とみる。
1期目のトランプ政権では、軍出身高官らが歯止め役だったが、そういう人材は既に遠ざけられている。トランプ氏が独自路線を走っても「反発に直面する可能性は低い」(クーパー氏)という見方が支配的だ。
[時事通信社]
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