イスラエル、さらなる強硬路線の可能性=トランプ氏勝利、イランは対決姿勢―米大統領選
【カイロ、イスタンブール時事】トランプ前米大統領が当選を確実にしたことを受け、イスラエルのネタニヤフ首相は6日、「歴史的な返り咲きだ」と歓迎し、両国の関係強化に期待感を示した。「親イスラエル」を鮮明にするトランプ氏を後ろ盾に、パレスチナ自治区ガザやレバノンでの戦闘で、ネタニヤフ政権が一層強硬路線に傾く可能性もある。
トランプ氏は、ガザでの「戦闘終結」を主張しており、中東の政治専門家ハートル・アブディアブ氏は「トランプ氏は戦争をより早期に終わらせるため、ネタニヤフ氏への圧力を高める」と指摘。ただ、人道的理由から弾薬供給を一部停止したバイデン政権と異なり、早期終結を口実とした攻撃強化など、イスラエルの戦略を容認する可能性があると見通した。
一方、ガザで交戦するイスラム組織ハマスは6日、次期米政権への態度は「パレスチナ人への対応次第だ」と表明した。ただ、トランプ氏はパレスチナ国家樹立を認める「2国家共存」による中東和平に消極的だ。1期目の任期中、エルサレムをイスラエルの首都と認めるなど露骨なイスラエル偏重政策を取った経緯があり、パレスチナ側には苦難の再来となりかねない。
イランは6日、政府報道官が「誰がなっても関係ない」と表向きは平静を装ったが、米国との対決姿勢を強める構え。トランプ氏は在任中、イランへの「最大限の圧力」を掲げ、核合意離脱やイラン産原油禁輸などの制裁強化のほか、精鋭軍事組織「革命防衛隊」司令官も殺害し対イラン敵視政策を進めた。イランでは7月に改革派大統領が就任したが、トランプ氏の再登板で米国との緊張が一段と増すのは必至だ。
[時事通信社]
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