「石破外交」問われる手腕=日中、日米会談焦点
石破茂首相は今月中旬に南米で開かれる国際会議に出席し、「石破外交」を本格始動させる。衆院選で大敗し政権基盤が揺らぐ中、外交で実績をアピールしたい考えだ。しかし、米国は保護主義的な動きを強め、日中関係は課題が山積するなど、首相の手腕が問われる。
「外交にいとまはない」。首相は衆院選翌日の先月28日の記者会見で、南米の国際会議出席に意欲を示した。首相の外国訪問は10月のラオス以来。ペルーで15日から開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議と、ブラジルで18日から開催される20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席する。
今回の海外訪問では、中国の習近平国家主席との会談を調整。首相は東京電力福島第1原発の処理水放出に関し、日本水産物の早期輸入再開を要求する方針だ。中国広東省深セン市で日本人男児が刺殺された事件の事実解明なども求めるとみられる。習氏から前向きな発言を引き出すことができるかが焦点だ。
バイデン米大統領との会談も調整しており、首相は中国による東・南シナ海での覇権主義的な動きなどを踏まえ、日米同盟の強化を確認したい考え。岸田前政権の外交路線を継承し、同志国と重層的な関係を構築する方針も伝える見通しだ。
5日の米大統領選を受けて、首相は次期大統領との関係構築も急ぐ。来年1月の就任式までの対面会談を検討しており、外務省関係者は「早期訪米を模索する」と語る。
「米国第一主義」を掲げるトランプ前大統領が返り咲いた場合、日米間に通商や安全保障で摩擦が生じることも予想され、首相は難しいかじ取りを迫られそうだ。
衆院選で自民、公明両党が大敗し、首相は綱渡りの政権運営を強いられている。外務省幹部は「この先、政権基盤が本当に不安定になれば外交に影響が出てくる」と懸念を示した。
[時事通信社]
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