米大統領選、財政悪化を懸念=バラマキ色強く、金利上昇―金融市場
【ニューヨーク時事】5日投開票の米大統領選で、民主党候補のハリス副大統領と共和党候補のトランプ前大統領が接戦を演じる中、米長期金利が高止まりしている。金融市場は両候補が掲げるバラマキ色の強い政策が、財政悪化を招くと懸念。6、7日には連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、様子見ムードも強まっている。
米債券市場では、連邦準備制度理事会(FRB)が9月のFOMCで利下げに転じた後も金利高が続いている。ハリス氏は住宅購入支援を掲げ、トランプ氏は所得税などの大型減税の恒久化を主張。どちらが勝っても財政赤字が膨らむ公算が大きい。長期金利の指標である10年物米国債利回りは11月1日、取引終盤に4.39%と、7月上旬以来の高水準を付けた。
トランプ氏を巡っては、高関税政策への警戒感が根強い。輸入品への一律10~20%の追加関税は販売価格の上昇を通じてインフレを助長し、「さらなる金利上昇を招きかねない」(エコノミスト)。米国野村証券の推計では、一律10%の関税導入により、変動の激しい食品とエネルギーを除いた物価指数が最大1%上昇する。消費者の負担増や企業活動への悪影響は避けられそうにない。
一方、株式市場では、米景気の軟着陸期待などを受け、主要株価指数は高値圏で推移している。規制緩和に前向きなトランプ氏が返り咲けば、企業活動の活発化で「相場が一段と押し上げられる」(日系証券関係者)との期待が大きい。ハリス氏が勝てば、法人税率引き上げや金融所得課税の強化などが相場の重荷になるとの見方が多い。
もっとも大統領選後の相場動向については「歴史的に見て勝者が誰かは重要ではない」(米地銀)とする分析もある。銀行系シンクタンクは「FRBが軟着陸を達成できるかどうかだ。成功すれば数年間、株式市場が堅調に推移するとみている」との見解を示した。
[時事通信社]
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