ウクライナ融資「支援疲れ」配慮=凍結資産活用、安定実行課題も―G7
【ワシントン時事】先進7カ国(G7)が25日、制裁で凍結したロシア資産を活用する総額500億ドル(約7兆6000億円)のウクライナ支援融資の枠組みに合意した。凍結資産の利子収入を返済原資とする異例の仕組みとしたのは、国民負担を回避し、各国でくすぶる「支援疲れ」への配慮がある。ただ、不透明な政治情勢を背景に今後の安定的な融資実行に課題も残る。
米政府はG7合意に先立つ23日、200億ドル拠出を正式に表明。バイデン大統領は声明で「納税者の負担はない」と強調した。年内にまず、経済支援のため100億ドルの融資を実行する方針だ。
対応を急ぐのは、来月5日の米大統領選で、支援に否定的なトランプ前大統領が勝利し議論が覆されるのを避ける狙いだ。融資枠組みに参加する日本も「(新大統領が就任する)1月までの決定は現政権下で行われる」(財務相同行筋)と後戻りはないとみている。
ただ、米国が軍事支援に充てる残り100億ドルの年内拠出には米議会承認が必要。米政府高官は「議会と対話し勝算を見極める」とするが、議会手続きは難航が見込まれる。
一方、凍結資産の大半を抱える欧州連合(EU)にも「まだ問題が残っている」(フランスのアルマン経済・財務相)とされる。EUの制裁は半年ごとに全加盟国一致による更新が求められる。1カ国の反対でも解除可能なため、米国は返済原資の安定確保への懸念を示してきた。
EUは、制裁継続を担保する制度見直しを検討してきたが、米大統領選結果を待つよう主張するハンガリーの反対で進まなかった。EUは今月の首脳会議の声明で、ロシアが戦争を終結し損害を補償するまで「資産は凍結し続けるべきだ」と確認したが、不透明感は払拭されていない。
[時事通信社]
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