石破首相「裏金と決別」強調=野党攻勢、世襲批判も【24衆院選】
衆院選の投開票が27日に迫る中、石破茂首相(自民党総裁)が派閥裏金事件との「決別」をアピールする場面が目立ってきた。厳しい世論の批判を踏まえ、再発防止への姿勢を強調し、自公連立政権継続への支持につなげたい考えだ。ただ具体策が伴っているとは言えず、立憲民主党などは裏金批判を前面に押し出し、攻勢を強めている。
「二度と起こらないよう、おごりを排し、心を新たにして臨んでいく」。22日、愛知県岡崎市で街頭演説した首相は裏金事件への対応に重ねて理解を求めた。
2日前の20日夜、神戸市で行った演説では候補者紹介や防災対策に力点を置く一方、裏金事件への言及はなかった。19日の千葉市での演説でも最後に短く触れた程度。しかし21日以降、「与党過半数割れ」の可能性が報じられると、苦境をあえて前面に出し、「問題と決別した新しい自民党をつくらねばならない」(京都府亀岡市での演説)などと訴え、巻き返しに懸命になっている。
自民幹部は「謝ってばかりいても印象は良くない」と指摘。22日の愛知県小牧市での演説で、首相は冒頭から「自公で過半数が取れるかどうかの瀬戸際だ」と危機感をあらわにし、野党に対し「あんな人たちに国を任せるわけにはいかん。誰が首相になり、どんな政策をやろうとしているのか」と批判を強めた。ただ、政治改革や賃上げへの具体策に触れることはなかった。
立民の野田佳彦代表は終盤戦で、裏金事件の追及を継続するとともに、自民の「世襲体質」もやり玉に挙げる。22日、埼玉県内で街頭演説した際には、「自民の3割から4割は世襲政治家だ。最近は4世まで出てきた。これが民があるじ(主)の民主主義か」と指摘。「カネをかけ過ぎる政治、カネを集められる特別の家系。こういう政治を正さなければいけない」と政権交代の必要性を強調した。
日本維新の会も「政治とカネ」で自民批判を強化する。馬場伸幸代表は22日、福岡市での演説で「自民党はごちゃごちゃ言ってやらない」と、政治改革への及び腰ぶりを攻撃。企業・団体献金の禁止や調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開を訴えた。
公明党は、「裏金候補」への推薦連発で野党から「共犯」批判を浴びる。22日に埼玉県内で演説した石井啓一代表は、政治資金の使い道をチェックする第三者機関設置を改めて訴えつつ、政策活動費の廃止を主張する野党に対し「過去、何に使ったか明らかにすべきだ」と反撃した。
共産党は高齢者の医療負担見直しを主張する維新や国民民主党への批判も織り交ぜ、野党間での独自色の発揮にも心を砕いている。
[時事通信社]
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