野党時代の悔しさかみしめ=自民党・石破茂総裁【党首奮戦記】
「あの時ほど野党で申し訳ないと思ったことはない」。衆院選公示日にまず足を運んだのは、2011年の東日本大震災の被災地、福島県いわき市だった。口にしたのは、旧民主党に政権を奪われ、震災対応に力を発揮できなかった悔しさだ。
翌年の自民党総裁選に出馬し、党員の支持を得て1回目の投票で首位に立った。しかし、決選投票では議員の支持を集めた安倍晋三元首相に逆転負け。その後、しばらくは幹事長などの要職にあったが、徐々に権力から遠ざかった。
5回目の挑戦でようやく手が届いた首相の座。しかし、武器だったはずの発信力は「もろ刃の剣」に変わった。衆院解散のタイミング、「裏金候補」への対応、安全保障政策…。「変節」との批判に「指摘は当たらない」と防戦に追われる。
派閥裏金事件を受け、野党が「政権交代こそ政治改革」と叫ぶ中、第一声では「厳しい情勢だ」と認めざるを得なかった。「国民を信じ、あるべき日本の姿を語る。今、自民党が頑張らないでどうする」。自分に言い聞かせるように語った。
[時事通信社]
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