中東危機でアフガン通過便増=タリバンの歳入増に寄与か
【ニューデリー時事】イスラエルとイランの対立激化を受け、より安全な空路としてアフガニスタン領空を通過する便が増えている。同国は欧州とアジアを結ぶ主要ルートの一つだが、2021年8月にイスラム主義組織タリバンが政権を奪取して以降は安全への懸念から回避されてきた。
タリバン暫定政権の運輸・航空省報道官は9日の国営放送の番組で、アフガンを通過する便が以前と比べ2~3倍になっていると明かし、「空域は安全で、あらゆる種類の民間飛行の準備が整っている」と述べた。
英紙インディペンデントは、航空機の航路を追跡するサイト「フライトレーダー24」のデータを基に、発着便を除き3日にアフガン上空を通過した便が191に達したと伝えた。タリバンが復権して以来、1日の数としては最多という。
また、8月の第2週は昨年同時期の7倍に上り、独ルフトハンザ航空や英ブリティッシュ・エアウェイズ、シンガポール航空の便がアフガン上空に戻ってきているとした。
要因は、中東情勢の緊迫化だ。今月1日にはパレスチナ自治区やレバノンの親イラン組織最高指導者殺害への報復として、イランがイスラエルに約200発の弾道ミサイルを発射。航空各社はイラン上空を避ける傾向が強まった。
さらに、ウクライナに侵攻したロシア上空も飛行できないことで、残されたルートであるアフガン上空を飛ばざるを得ないという事情もある。
タリバン暫定政権は航空会社に「領空通過料」として1便当たり700ドル(約10万円)の支払いを求めているとされ、3日のペースで運航が続けば単純計算で年間約4880万ドル(約73億円)の収入となる。深刻な財政危機にあえぐ暫定政権は、貴重な収入源として重視しているもようだ。
[時事通信社]
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