「共犯者」供述で有罪も=本人否認の榎井村事件など―再審
殺人で再審無罪となった事件の中には、被告が一貫して否認しても、「共犯者」の供述を根拠に有罪とされたケースがある。警察官が虚偽の情報を伝えて供述を引き出したとされる「榎井村事件」(香川県)の例もあり、容疑者や被告以外の取り調べにも問題が潜んでいる。
榎井村事件は1946年8月に発生。当時の大蔵省専売局職員が射殺され、犯行を否認していた被告が殺人罪などで起訴された。「共犯者」とされた知人が被告の犯行だと供述。裁判所はこの供述を重視し、懲役15年の判決が確定した。
だが、再審で高松高裁は改めて知人の供述を検討。判決によると、警察による知人の取り調べは毎回午後10時ごろから始まり、午前3時まで及ぶこともあった。
さらに、警察官は、被告が知人と一緒にやったと自白したなどと虚偽の情報を伝達。知人は精神的に追い詰められ早く釈放されたいとの思いなどから捜査の見立てに沿う供述を始めた。
その後、知人は被告が否認していることを公判で知り、自らも供述を翻した。再審判決は知人の捜査段階の供述について「虚偽である疑いが濃厚で到底信用できない」と判断した。
[時事通信社]
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