イスラエル、国連機関の活動禁止審議=UNRWA、グテレス総長は批判
【ニューヨーク時事】イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突が2年目に入り、パレスチナ自治区ガザの人道支援で国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の重要性が増している。ところがイスラエルは、ハマスとの関係を指摘しUNRWAの活動を事実上禁止する法案を審議。グテレス国連事務総長は8日、法案が成立すれば「大惨事になる」と批判し、活動継続を訴えた。
イスラエル国会の外交・国防委員会は6日、UNRWAに関する二つの法案を承認。同国内での活動を認めず、他の国連職員が持つ免責などの特権をUNRWA職員には適用しないという内容で、現地メディアによると今月下旬以降、国会で審議を継続する。
これについてグテレス氏は、記者団を前に「UNRWAがなければ、ガザで食料や避難所、医療を提供することが不可能になる」と強調。法案は「国連憲章に反し、国際法上のイスラエルの義務に違反する」として、イスラエルのネタニヤフ首相に対し、成立を阻止するよう求めた。
UNRWAを巡っては今年初め、一部職員が昨年10月のハマスによるイスラエル奇襲に関与した疑惑が浮上。その後、独立調査団が組織の改善策を勧告し、関与したとされる職員は解雇された。
しかし9月末、イスラエルによるレバノン空爆で死亡した職員がハマス幹部だったと判明。イスラエルは「ハマスのテロリストに侵略されている」(ダノン国連大使)としてUNRWA解体を求める姿勢を崩していない。
グテレス氏は8日、法案に懸念を表明する書簡をネタニヤフ氏に送ったと明らかにした。ただ、イスラエルはグテレス氏の入国を禁止するなど国連との関係が悪化の一途をたどっており、ネタニヤフ氏が従う可能性は低いのが実情だ。
[時事通信社]
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