再審法」改正機運高まる=証拠開示に課題、審理長期化―識者「規定なく不安定
再審を巡っては、手続きを定めた「再審法」の不備が指摘されている。通常の刑事裁判のように期日や検察側の証拠開示などに関する規定がなく、裁判所の裁量で運用されているため審理が長期化する傾向にある。識者は「裁判官次第で判断が変わるのは不安定。法改正すべきだ」と訴える。
再審法は、刑事訴訟法のうち19の条文から成る再審規定の別称。請求要件を示す一方、その後の手続きについては、「必要があるときは事実の取り調べをさせることができる」と記すのみだ。日弁連は明確なルールが必要だとして、証拠開示の制度化や、請求審が長引く一因とされる検察の不服申し立てを禁止する改正案を掲げている。
袴田巌さんのケースでは、最初の請求審で証拠開示が認められなかった上、結論が出るまでに27年かかった。2度目の請求審では、静岡地裁の勧告を受け、血が付いた「5点の衣類」を含む約600点の証拠を検察が初めて開示。5点の衣類が決め手となって再審開始決定が出されたが、検察の即時抗告で東京高裁が決定を取り消すなどし、再審開始が確定するまでに15年を要した。
再審に詳しい田淵浩二・九州大教授(刑事訴訟法)によると、もともと日本と同様の制度だったドイツでは、60年前の法改正で再審開始決定に対する検察の上訴権を廃止。英国は調査権限を持つ第三者機関が開始の可否を判断し、検察は異議申し立てができない。再審開始の要件も高くなく、公判で争えばいいとの考え方だという。
日本では2004、16年の刑訴法改正を経て、通常の刑事裁判について証拠リストの開示がルール化された。田淵教授は「再審の証拠開示も同じレベルに合わせるべきだ。捏造(ねつぞう)が認定された袴田さんの事件を機に改正できなければ、永遠にできないだろう」と語った。
[時事通信社]
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