2024-10-07 20:24

マイクロRNA発見の米2氏に=ノーベル生理学・医学賞

 スウェーデンのカロリンスカ研究所は7日、2024年のノーベル生理学・医学賞を、遺伝子の働きを制御する役割を持つ小さなリボ核酸「マイクロRNA」の発見と機能を解明した米マサチューセッツ大のビクター・アンブロス教授(70)とハーバード大のゲーリー・ラブカン教授(72)に授与すると発表した。
 マイクロRNAはヒトや動物など多細胞生物の受精卵からの発生や成長に関わっているほか、その異常はがんや脳神経疾患などに深く関与していることも明らかになってきている。
 生物の遺伝情報は、DNAからメッセンジャーRNA(mRNA)に写し取られ、たんぱく質を作る(遺伝子発現)。しかし、生物の身体にはさまざまな臓器があり、異なった種類の細胞で構成されているため、それぞれに特化した細胞が作られるよう発現が制御される必要がある。
 アンブロス教授らは、モデル生物の線虫から、たんぱく質作りに直接関わらない小さなマイクロRNAを発見し、特定のたんぱく質の発現を抑制していることを解明した。現在、マイクロRNAは1000種類以上見つかっており、ヒトでも同様の仕組みで多くの遺伝子発現を制御していることが判明。選考委員会は「すべての複雑な生命体に不可欠な遺伝子制御の新たな側面を明らかにした」と評価した。 
 授賞式は12月10日、ストックホルムで開かれ、賞金1100万スウェーデンクローナ(約1億6000万円)が半分ずつ贈られる。

 

 ◇受賞決定者の略歴
 ビクター・アンブロス氏 1953年米国生まれ。79年マサチューセッツ工科大で博士号取得。ハーバード大准教授を経て96年ダートマス大教授、2008年マサチューセッツ大教授。08年ガードナー国際賞とラスカー賞、14年ウルフ賞、15年生命科学ブレークスルー賞をゲーリー・ラブカン氏らと共同受賞。13年慶応医学賞受賞。
 ゲーリー・ラブカン氏 52年米国生まれ。82年ハーバード大で博士号取得。85年同大准教授、97年教授。
[時事通信社]

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