119番対応を一元化=全国初、センターが本格運用―出動時間短縮に期待・大分
大分県全域の119番を一括して受け付ける消防指令センターの本格運用が、1日から始まった。都道府県単位で通報受け付けを一元化するのは全国で初めて。通報から出動までの手順も統一することで、現場への出動時間の短縮が期待されている。
センターは、大分市の複合公共施設内に設置。県内14の消防局・消防本部の職員計49人から成り、うち42人が通信指令員として119番を受け付ける。通常は14人態勢で対応し、通報が集中する大規模災害などが起きた際には36人に増やすことで、これまでよりつながりやすくなるという。
また、通報時に映像を送ってもらうシステムを導入し、詳細な被害状況の確認も可能とした。現場への出動時間を短縮するため、これまで局・本部ごとに異なっていた通報から出動までの手順も一元化し、事故状況を把握したらすぐに出動指令を出す方式にした。古沢雄一センター長は「(試行期間中は)これまで2分程度かかっていた出動までの時間が約45秒に短縮された」と話す。
課題も見つかっている。大規模災害時には機動的な対応が必要なため、各消防局・本部からは「現地で救急車両の出動を判断するなどの運用をしたい」との声が根強い。また、職員の給与は派遣元の消防局・本部が基準となるため、「同じ仕事をしているのに差が生じる」(消防関係者)とモチベーション維持に不安を示す声も上がる。
システムの更新費用が高額なことや、現場の人員充実を図る観点から、全国でも消防指令センターの共同運用は広がっている。総務省消防庁によると、4月時点で31府県の212消防本部で共同運用を実施。同庁は共同運用推進のため、補助金などの財政支援も行う。同庁担当者は「大分県の取り組みは画期的だ。共同運用が広がるよう支援を続ける」と話した。
[時事通信社]
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