ハリス氏、強い雇用生かせず=「経済」ではトランプ氏に劣勢―米大統領選
【ワシントン、ニューヨーク時事】11月の米大統領選まで残り1カ月となる中、米国の労働市場は堅調さを維持している。良好な雇用情勢は、バイデン現政権のナンバー2で民主党候補のハリス副大統領にとって追い風のはず。しかしハリス氏は「経済」に関する支持率で、共和党候補のトランプ前大統領の後塵(こうじん)を拝している。
「経済は良い進展を遂げている」。ハリス氏は4日、中西部ミシガン州で演説し、9月の雇用統計で就業者数が前月比25万4000人増と、市場予想(14万人増)を大きく上回ったことをアピールした。失業率は4.1%と、2023年初めの約53年ぶり低水準と比べれば上昇したものの、良好な雇用情勢を示す水準を保っている。
メディアなどの世論調査ではおおむね、ハリス氏の支持率がトランプ氏を僅差でリードしている。ただ、有権者の最大の関心事とされる経済に限ると、トランプ氏がハリス氏を上回るケースが多い。調査会社イプソスが9月末に行った調査では、「経済・インフレ・雇用」に関する政策でトランプ氏を支持する割合は41%だったのに対し、ハリス氏は35%にとどまった。
ハリス氏が労働市場の堅調さを生かし切れない背景については、米社会の格差拡大を指摘する声が多い。数字的には雇用は堅調、インフレ率も低下しているが、日系証券関係者は「食品や住宅価格が(コロナ禍前より)かなり上昇しており、豊かさの実感が伴わない」と指摘。最高値更新を続けるニューヨーク株式相場についても「資産を持たない層は恩恵を受けられず、不満がたまっている」と分析する。
米国勢調査局が9月に発表した23年の貧困率は12.9%と、2年連続で上昇した。コロナ経済対策の終了が響き、苦境に直面する低所得層の実態がうかがえる。
「インフレが経済を壊滅させた」。トランプ氏は4日、南部ジョージア州で行った記者会見で、生活コスト高への不安をあおった。強い内容だった雇用統計に関しては「不法移民が多くの仕事を奪っている。その点からすれば非常に残念だ」と、看板の主張である不法移民対策と絡め、バイデン・ハリス政権の「成果」を攻撃した。
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