製造業支援で「バラマキ」=激戦州の労働者票狙う―米大統領選
【ワシントン時事】残り1カ月となった米大統領選では、民主党のハリス副大統領、共和党のトランプ前大統領が共に製造業支援を掲げ、減税など「バラマキ」色が濃い政策を競っている。中西部ミシガン州などの激戦州は、製造業が盛んな地域が多く、労働者票を取り込む狙いだ。両候補とも対中強硬姿勢も強めている。
「未来の産業をリードし、中国ではなく、米国が21世紀の競争に勝つ」。ハリス氏は9月下旬、東部ペンシルベニア州ピッツバーグで、産業支援策を並べた経済公約を披露した。中間層強化、中小企業・起業支援に続く第三弾。経済政策に関する支持率でトランプ氏に後れを取る中、巻き返しを狙った一手だ。
ハリス氏は、クリーンエネルギー、人工知能(AI)、量子コンピューター、ブロックチェーン(分散型台帳)などの新興技術に加え、鉄鋼や自動車、半導体にも投資すると説明。雇用を拡大した企業に税制優遇措置を講じる計画も表明した。必要な財源は10年間で1000億ドル(14兆6000億円)に上る。
トランプ氏は「製造業ルネサンス」を掲げる。輸入品への一律10~20%の追加関税、対中関税の引き上げ、メキシコ製自動車への追加関税などで国内の製造業を保護。規制を緩和した「特区」や法人税引き下げにより、「これまで見たことがないほど、海外企業が進出してくる」と、生産拠点の誘致に自信を見せる。
また、研究開発や設備投資への税制優遇も導入し、投資を活性化させる考え。残業手当の非課税化も提唱している。
両氏とも減税などを前提にした政策だが、財源確保策への言及は少ない。ハリス氏は、法人税率引き上げや富裕層課税で賄う計画だが、具体性を欠く。高関税による収入を当て込むトランプ氏には「(高関税は)貿易縮小につながる」(米シンクタンク)との批判が多く、収入を増やせるかは不透明だ。
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