「納得と共感」得られるか=初の所信表明演説―石破首相
石破茂首相は初の所信表明演説で、「国民の納得と共感」を重視する政治を掲げた。しかし、かねて主張してきた独自政策の多くを盛り込まず、石破カラーを抑えた守りの姿勢が目立つ。衆院解散や国会対応を巡る「ぶれ」も指摘され、政権発足直後にもかかわらず期待感はしぼみかねない。
演説は自民派閥裏金事件の「反省」から始まり、信頼回復に向け「政治家のためではない、国民のための政治」を約束した。ただ、具体的な再発防止策は示さず、改革への本気度は伝わらない。
独自色は、地方創生や防災庁創設など一部にとどまり、経済政策では岸田政権の路線継続を表明。一方、持論である日米地位協定改定やアジア版北大西洋条約機構(NATO)創設への言及は見送り、総裁選中に意欲を示した金融所得課税の強化や選択的夫婦別姓導入にも触れなかった。薄氷の総裁選勝利ゆえの党内への配慮がにじむ。
首相は、総裁選で「国民にきちんと判断材料を示して信を問う」と、解散前の予算委員会開催に前向きな考えを示していた。党首討論でお茶を濁し即時解散に踏み切る姿は、国民の十分な理解は得られまい。
総裁選で4度敗れながらも、首相にふさわしい人を問う世論調査で上位に位置し続けた。国民が期待したのは、党内で疎まれようとも自身の考えを貫く姿ではなかったか。悲願だった首相の座に就き、変節したのか。衆院選で審判を受けることになる。
[時事通信社]
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