TDK元研究員を書類送検=データ不正持ち出し容疑―警視庁
電子部品大手「TDK」(東京)から電子部品の研究データなどを不正に持ち出したとして、警視庁公安部は4日、不正競争防止法違反(営業秘密領得)容疑で、千葉市に住む元同社研究員の男(65)を書類送検した。公安部は認否を明らかにしていない。
送検容疑は昨年6月、勤務していた千葉県内の同社工場で、営業秘密に当たる電子部品の研究や開発に関するデータを社用パソコンから私用のメールアドレスに送信し、持ち出した疑い。
捜査関係者によると、持ち出された情報の中には、スマートフォンや医療機器に使われる微小の電気機械システム「MEMS(メムス)」に関する研究データなどが含まれていた。
男は持ち出した直後に同社を退職し、流出に気付いたTDKが警視庁に相談していた。転職活動に役立てようとした可能性があるという。
同社を巡っては、警視庁が今年5月、秋田県の関連施設に勤めていた別の社員ら2人が営業秘密に当たる情報を取引先企業に流出させたとして、同法違反(営業秘密開示)容疑で書類送検していたことも判明した。すでに不起訴処分となっている。
同庁は、これらの情報は海外の企業などに持ち出された可能性があるとみて捜査していたが、いずれも流出は確認されていない。
TDKは1935年設立の電子部品メーカー。グループ全体の従業員数は10万人以上で、海外売上高比率は9割を超える。2024年3月期の連結売上高は2兆1039億円。
TDKは4日の書類送検を受け、「情報管理体制の一層の強化および従業員に対するコンプライアンス教育の徹底を図り、再発防止に努める」とのコメントを出した。
[時事通信社]
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