ヒズボラ徹底抗戦、地上戦長期化も=ナスララ師死亡から1週間
【エルサレム時事】レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者ナスララ師がイスラエル軍に殺害されてから4日で1週間。9月下旬に始まったイスラエル軍の激しい攻撃で弱体化したとの見方があるヒズボラだが、「われわれは勝利する」(ナンバー2のカセム師)と徹底抗戦の構えだ。レバノンに地上侵攻したイスラエル軍は国境地帯のヒズボラ拠点を破壊する短期戦を想定するが、ヒズボラがしぶとく抵抗すれば、長期化する可能性もある。
カセム師はナスララ師の死亡から3日後の9月30日の演説で、対イスラエル闘争の継続と、パレスチナ自治区ガザでイスラエルと交戦するイスラム組織ハマスへの支持を表明。従来の方針に変わりがないことを強調し、ヒズボラの「健在」をアピールした。
これまで「最小限の戦闘」しか行っていないとも主張。「戦いは長期化するだろう」と消耗戦も辞さない姿勢を見せた。
ただ、最高指導者の後継者は発表しなかった。後継者にはカセム師のほか、ナスララ師のいとこでイランとの関係が深いサフィディン師が長らく有力視されてきた。イスラエルは空爆で多数のヒズボラ幹部を殺害。「代わりはいる」とカセム師は語ったが、最高指導者殺害を受けて組織内では内通者がいるのではないかと不信感が広がり、組織立て直しに苦慮していると見る向きもある。
アルアハラム政治戦略研究所(エジプト)のサイード・オカシャ氏は、「頭(最高指導者)がなくなって、体がどうやって動くのか。ヒズボラ内部は大混乱だ」と指摘。軍事力は低下していると分析した。
一方、イスラエル軍は2日、ヒズボラとの交戦で兵士8人が死亡したと発表した。シリア内戦に参戦したヒズボラは豊富な戦闘経験を持ち、指揮系統が崩壊しても小規模の部隊で作戦を続行できるよう訓練されているという。ヒズボラは急峻(きゅうしゅん)な地形を把握し、レバノン南部で地下トンネル網を構築。イスラエル軍はガザで地下トンネルの存在に苦しめられた。イスラエルにとってヒズボラを打ち負かすのは容易ではない。
[時事通信社]
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