北極「希望の海、公共財に」=上川外相、中ロの軍事動向注視―第2部「蒼い北極」(2)・〔66°33′N=北極が教えるみらい〕
日本政府は米ロなど北極圏8カ国で構成する多国間フォーラム「北極評議会」にオブザーバー参加し、科学技術面などで北極政策に関与している。外相就任前から北極政策に積極的に取り組んできた上川陽子外相に経緯や課題を聞いた。(肩書は当時)
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―北極をライフワークとした経緯は。
北極は地球規模課題、特に気候変動と密接に関連している。気候変動が北極に与える影響はわが国を含む世界中に影響を与えている。危機感を持って取り組む必要がある。北極を「希望の海」として各国の権益のぶつかり合いを避けられるような人類の公共財と位置付けて日本は関与すべきだ。その手段が科学技術だ。
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―外相が発起人となり2013年に「北極のフロンティアについて考える議員連盟」が設立された。
研究開発と国際協力、持続可能な利用を掲げる政府の取り組みを支援してきた。国家戦略策定を政府と自民党に要請し、15年10月の「わが国の北極政策」という形で結実した。
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―建造中の北極域研究船「みらいII」の21年度予算化に取り組んだ。
北極政策のキーワードがなかった中から議連を立ち上げた。「骨太の方針」(経済財政運営の基本指針)に北極の2文字を入れるまで時間がかかった。インフラを造るのは予算もかかり大変だ。もろもろのタイミングで提言をして建造に着地することができた。
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―中国、ロシアが北極圏で活動を強め緊張が高まっている。
ロシアは北極海航路(開拓)と資源開発を進めるなど軍事、非軍事両面で活動を強化している。中国は「北極近接国家」と称し、(近年)14回にわたって砕氷調査船を派遣し活動を活発化している。中ロの軍事動向も踏まえ、安全保障環境を注視していかなければいけない。「法の支配」に基づく自由で開かれた海洋秩序の維持・発展の確保を重視している。国連海洋法条約と整合的でない形で排他的な航路の規制を設けたり、資源の独占的利用をしたりすることは認められない。
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―ロシアのウクライナ侵攻で北極評議会の活動が一時停止した。
ノルウェー議長国の下で24年3月以降(順次)開催されている作業部会にわが国も参加している。日本の強みである観測をはじめ科学技術の知見を生かして貢献したい。
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―外相は今年1月、日本と北欧との協力を記した外交方針「北欧外交イニシアチブ」を発表した。
北極や海洋を巡る問題は北欧諸国が独自の強みと発信力を持っている分野だ。協力を深めることを通じ、国際社会の課題解決に向け、日本として北欧と共に指導力を発揮していく。
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―北極での国際ルール整備の必要性は
地球温暖化によって資源開発の新たな機会が拡大すると同時に、生態系への悪影響といった課題への対応が急務となっている。必要な国際ルールを整備し、国際協力するのはこれらの課題解決に重要だ。
[時事通信社]
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