石破氏、衆院選シフト鮮明に=挙党態勢の構築腐心
自民党の石破茂新総裁は、党運営の要となる幹事長に森山裕総務会長を選んだ。10月1日召集の臨時国会中の衆院解散が想定される中、選対委員長に就く小泉進次郎元環境相との「二枚看板」で、野党の攻勢に対抗する考えだ。小泉氏を含め、総裁選のライバル候補の要職起用などで、挙党態勢の構築にも腐心した。
「選挙に勝つこと。党内を掌握すること。泥をかぶる(こと)」。石破氏は27日の記者会見で、幹事長に求める資質をこう説明。28日は、公明党大会への出席などを除き、衆院議員宿舎にこもって人事構想を練った。
森山氏は、党役員や閣僚の経験が豊富。過去に選対委員長を務め、全国の選挙区情勢に通じている。岸田文雄首相や麻生太郎副総裁、菅義偉前首相ら重鎮も手堅い仕事ぶりを評価。石破氏はこれらを踏まえ、挙党態勢の構築に向けて適任と判断したようだ。
国民的人気の高い小泉氏には、衆院選の「顔」としての役割を期待。派閥裏金事件の逆風が続く中、党の刷新を印象付ける狙いも透ける。小泉氏自身も全国行脚に意欲的だ。
安定した行政手腕に定評のある林芳正官房長官は続投させる意向。狙いは「霞が関」の掌握だ。政府関係者も「政策の安定性や省庁との連携を考えれば、林氏の留任が望ましい」と歓迎する。
党内基盤が脆弱(ぜいじゃく)な石破氏としては、林氏の続投で岸田氏の路線継続をアピールし、後ろ盾を得る思惑もあるとみられる。菅氏に対する副総裁就任の打診も同様の理由からだ。
一方、総裁選の決選投票で争った高市早苗経済安全保障担当相は、石破氏と距離を置く姿勢をにじませる。28日には、自身のX(旧ツイッター)で「1人の国会議員として知恵を絞り働く」と記し、早くも人事に予防線を張った。今後の政権運営で、不安定要因となる可能性もある。
[時事通信社]
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