問われる「裏金議員」公認問題=自民・石破新総裁、防災省創設も試金石
自民党の石破茂新総裁にとって内政上の最大の課題は、派閥裏金事件にけじめを付け、国民の信頼回復につなげることだ。石破氏は「裏金議員」を次期衆院選で非公認とする可能性に言及しており、具体的にどう対応するかが問われる。防災省創設など目玉公約にいかに道筋を付けるかも試金石となりそうだ。
「選対本部で適切に判断する。説明責任はきちんと果たしたい」。石破氏は27日、新総裁として初めて臨んだ記者会見で裏金議員を公認するかどうか問われ、曖昧な答えに終始した。
石破氏は8月下旬の出馬表明の際、裏金議員に関し「公認するにふさわしいかどうか、議論は徹底的に行われるべきだ」と非公認の可能性に言及。しかし、旧安倍派を中心に反発が広がると、すぐに「新体制になってどうするのか決める」と発言をトーンダウンさせた経緯がある。
新総裁となった今、石破氏は答えを出す必要に迫られる。政治資金を巡る「限りない透明性を持って公開する」との宣言についても同様だ。野党からは「新総裁には裏金問題の実態解明を期待する」(立憲民主党の安住淳前国対委員長)との声が上がっており、対応次第では10月1日召集の臨時国会で追及にさらされる可能性もある。
総裁選で掲げた公約の実現も難題だ。防災省創設は石破氏の長年の持論。今回も「災害大国で専門の官庁がないのは異常だ」と訴えたが、党内では「屋上屋を架す構想だ」(若手)などと異論が根強い。石破氏は27日の会見で「簡単にできると認識していない」と認めざるを得なかった。
総裁選中には金融所得課税強化や選択的夫婦別姓制度導入にも前向きな考えを示しており、党内で反対論が強いこうした課題をどう前進させるかも試される。石破氏は近年、「首相にふさわしい人物」を問う世論調査で常に上位に位置してきたが、高い期待は石破氏の今後の対応次第で一気に失望に転じかねない危うさをはらむ。
[時事通信社]
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