ソフトバンク、つながり見せた強力打線=「2ストライク」前後の工夫―プロ野球「常勝への道、再び」(上)
プロ野球パ・リーグで、ソフトバンクが4年ぶりに優勝した。小久保監督は就任1年目での栄冠。独走で頂点に返り咲いたチームの強さの理由を探った。
◇「5番近藤」が的中
今季は新加入の右の大砲、山川を中心とする打線が組まれた。首脳陣が悩んだのは近藤の打順。出塁率の高さを生かせる上位ではなく、勝負強さを買って山川に続く5番を任せた。打順を考案する村上打撃コーチは、「山川が駄目でも近藤で(走者を)かえす、という流れができる」と意図を語る。
この二人がどっしりと座り、周りを固める選手の役割も明確になった。1、2番が多かった周東や今宮はチャンスメークを意識。今季台頭した正木や育成出身の川村、石塚ら若手は思い切りバットを振った。
はまった時の打線のつながりは圧巻だった。5月に楽天との2連戦で計33点を奪ったのはその象徴だ。
コーチが今季のテーマとして常に意識させていたのが「2ストライクアプローチ」。2ストライクになるまでは自分の得意な球を待ち、追い込まれてからはゾーンを広げて対応する。投手の球数を稼いだり、四球で出塁したりすることが狙いだ。村上コーチは「自分が打てなくても、次につなぐことができる。後ろの打者にいろいろな球を見せられる点で、すごく重要」と強調する。
近年は「投高打低」の傾向が顕著で、パの首位打者争いを見ても打率3割台は近藤ただ一人。強打者の柳田も、あらゆる投手に対応するためにコンパクトな打撃を心掛けた。4番の山川だけは「本塁打か三振か」が許された。
「安打を簡単に打てない」(村上コーチ)からこそ、相手を苦しめる工夫が必要だった。リーグトップの577得点を生み出した打線には、徹底した方針があった。(記録は24日現在)。
[時事通信社]
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