地位協定、日米摩擦の懸念も=対中立て直し急務、自民党の石破新総裁
自民党の石破茂新総裁は、日米同盟を基軸に外交を展開する方針だ。しかし、総裁選で掲げた日米地位協定の見直しなどは日米間で新たな摩擦となる可能性がある。足踏みが続く中国との関係をどう立て直すかも課題だ。
米国とは、中国の覇権主義的な動きや、ロシアのウクライナ侵攻、北朝鮮による核・ミサイル開発などに共同で対処してきた。石破氏は日米同盟の強化を図る考えだが、11月の米大統領選の結果次第では、「米国第一主義」を掲げるトランプ前大統領が返り咲く可能性がある。石破氏にはこうした事態への備えが求められる。
石破氏は27日の記者会見で、総裁選で訴えた日米地位協定の見直しやアジア版北大西洋条約機構(NATO)創設への意欲を表明。米国に自衛隊の訓練基地を造る考えを重ねて示し、「有効なことだ。そうすると地位協定(改定)が必要になる」と語った。
ただ、地位協定の抜本見直しに取り組む場合、米側との調整は難航必至。アジア版NATO創設について米側は「時期尚早」との立場だ。
対中関係では、東京電力福島第1原発の処理水放出を受けた中国による日本産水産物の禁輸問題が課題。日中両政府は禁輸緩和で歩み寄ったが、輸入再開の具体的時期は見通せていない。
中国広東省深セン市で日本人男児が刺殺された事件も日中関係に影を落とす。日本側は犯行動機など真相究明を求めているが、中国側から十分な説明は得られていない。
韓国とは、首脳の相互往来「シャトル外交」が再開するなど関係改善が進む。石破氏は尹錫悦大統領と早期に会談し、信頼関係の構築を目指すとみられる。
北朝鮮による日本人拉致問題は、拉致被害者家族の高齢化が進む中、早期解決に向けて北朝鮮とどう向き合うか手腕が試される。
[時事通信社]
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