米、同盟強化の路線継続求める=「地位協定改定」を警戒―自民総裁選・海外反響
【ワシントン時事】自民党新総裁に石破茂氏が選出されたことを受け、米政府は日米両国が推進してきた同盟強化の路線を継続するよう求める方針だ。一方、東アジアの安全保障環境が厳しさを増す中、同氏が日米地位協定の改定を提唱したことに警戒も聞かれる。
故安倍晋三氏を筆頭に、菅義偉氏、岸田文雄氏の歴代3首相はそれぞれ同盟深化に奔走した。米側は防衛費増額や反撃能力の保持、韓国やオーストラリアを含む同志国との関係強化といった日本の取り組みを高く評価。国務省の報道担当官は取材に対し、「(石破氏と)日米同盟をさらに強め、自由で開かれたインド太平洋という共通のビジョンを推進するため協力したい」と述べた。
ロシアのウクライナ侵攻や中東紛争の影で、中国が覇権主義的な行動を重ね、インド太平洋地域で米国が日本に求める役割は増大している。バイデン大統領が4月、訪米した岸田氏を国賓級の厚遇でもてなしたのは期待の表れだ。こうした中、石破氏が掲げる日米地位協定の改定は、同盟関係の抜本的な見直しにつながる恐れがあるという見方もある。米政府筋は地位協定改定について「かつてなく良好な日米関係に影を落としかねず、歓迎しない」とけん制した。
米側はまた、石破氏の持論である「アジア版北大西洋条約機構(NATO)」創設にも眉をひそめる。クリテンブリンク国務次官補(東アジア・太平洋担当)は17日、シンクタンクの講演で「(アジアで)集団安全保障やそのための正式機関について話すのは時期尚早だ」と断じた。石破氏は疑念を払拭するためにも、早期に米政権との関係構築に動く必要がありそうだ。
米国も11月に大統領選を控え、不確定要素は多い。バイデン政権関係者は「日米は継続性と安定性が重要だ」と述べ、自衛隊と米軍の指揮統制の連携強化などこれまでの合意を着実に実施すべきだと強調した。
[時事通信社]
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