中間貯蔵、恒久化に懸念=電力業界は原発稼働へ活路
原発の使用済み核燃料を一時保管する青森県むつ市の中間貯蔵施設に東京電力ホールディングスの柏崎刈羽原発(新潟県)から出た燃料が初めて搬入された。国が掲げる「核燃料サイクル」で燃料再利用の道筋が見えない中での見切り発車に、住民らは貯蔵の恒久化を懸念している。背景には原発敷地内での保管が限界に近づき、原発稼働の活路を開きたい電力業界の思惑も透ける。
電気事業連合会によると、全国の原発にたまる使用済み燃料は6月末時点で1.6万トンを超えている。満杯になれば原発は稼働停止に追い込まれる。東電が再稼働を目指す柏崎刈羽も容量の8割に達しており、中間貯蔵施設に運び出すことで原発を安定稼働できる環境を整備したい考えだ。
一方で受け入れ地域は、行き場を失う使用済み燃料に不安を募らせる。核燃料サイクルは、中核施設と位置付けた再処理工場の度重なる完成延期で事実上、行き詰まっている。再処理工場が完成しなければ、中間貯蔵施設からの燃料搬出の見通しが立たない。
青森県の宮下宗一郎知事は今月9日、資源エネルギー庁の村瀬佳史長官と面会し、県と関係閣僚が意見交換する「核燃料サイクル協議会」の開催を求めた。面会後に記者団の取材に応じた宮下氏は「搬出先については常に確認する必要がある」と警戒感を示した。
[時事通信社]
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