日系企業、広がる帰国支援=中国当局に危機感訴え―男児刺殺1週間
【北京時事】中国広東省深センで日本人学校の男児が刺殺された事件から25日で1週間。同国では6月にも日本人母子が襲撃される事件が起きており、日系企業の間では、駐在員の一時帰国支援などを決める動きが相次いでいる。進出日系企業で構成する中国日本商会がこのほど、中国当局と会合を開き危機感を訴えていたことも分かった。
パナソニックホールディングス(HD)は事件直後、会社負担で駐在員らの一時帰国を容認した。この他に複数の日系メーカーが同様の方針を決定しており、「警備員の増員を検討している」「カウンセリング窓口を新設した」といった声も上がる。
日系商社の関係者は、事件を受け、中国への赴任や出張を望まない社員が増えていると話す。商会と中国政府の会合は先週開かれており、こういった懸念も伝えられた可能性がある。「社員の安全と安心の確保は最優先課題だ。動機が分からないままでは会社として適切な対応策を取りようがない」(メーカー大手)と、事件の背景など詳細を公開するよう求める声は根強い。
中国政府による日本人を対象とする短期渡航ビザの免除措置も停止されたままだ。ある日系企業関係者は「ビジネスの障害になっている」と打ち明けた。日本の外務省によると、中国の在留邦人数は大規模な反日デモが起きた2012年をピークに減少に転じ、23年は約10万2000人と、12年比で3割超も落ち込んでいる。
[時事通信社]
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