「安全神話崩れた」=学校周辺ものものしく―中国・深セン
【深セン時事】「安全神話が崩れた」。中国南部・広東省深セン市の日本人学校に登校中の男児が男に刺殺された事件から1週間たった25日、現地の保護者はそう認識の変化を語った。学校周辺はものものしい警備が敷かれ、いまだ事件の緊張感が残っている。献花に訪れる人の姿も見られた。
子どもが別の日本人関連学校に通っているという男性(48)は「街中に監視カメラがあふれている深センでは、犯罪など起こらないと思い込んでいた。日本人学校には知り合いもおり、人ごとではない」とショックを隠さなかった。
中国当局は事件の動機を明らかにしていない。現地の日本人社会では、背景に反日感情が存在し、今後も類似の事件が発生することへの懸念が広がっている。先の男性は「外で日本語を話すのにも気を使わなければいけない土地で子どもを育てるのは不安だ」と声を震わせた。
周辺の中国人住民も憤っている。70代の女性は「犯人は許せない。厳罰に処されるべきだ」と語気を強めた。一方で、事件を「偶発的事案」とする中国政府の説明を受け入れている人が多く、日本人在住者とは認識のずれもうかがえた。別の中国人女性は「不幸な事件だが、日本人を狙ったとは思えない。犯人には前科があったというし、精神的に問題があったのではないか」と話した。
深センの日本人学校はオンライン授業を続けているが、周辺では私服の中国当局者ら10人ほどが警戒に当たり、警察車両も頻繁に巡回。校門そばの警察官らの詰め所にはさすまたや盾が備えられ、来校者や報道関係者の身元を細かく確認していた。
[時事通信社]
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